拝み屋の古家

私の嫁の曾祖母は山村の拝み屋さんだったという。その家には何度も遊びに行ったが、大きな祭壇がある以外は古い山の家である。

そこに嫁入りした義祖母は拝み屋ではなく、普通の人であった。仏壇と祭壇の前で、何宗かはわからないが熱心に信心はしていたようである。

先年、義祖母が亡くなって、その家は総領家(長男筋)が跡目を継いだ。たぶん、それが霊的にも正しい道であるのは確かである。

拝み屋の家というのは、家の中にいろんなものが祀ってある。ただ、その扱いを曾祖母から祖母へ伝授されている訳ではないので、扱いもわからずに放置されていた。

私から見ると厄介な代物であるのは間違いなく、扱いのわからないあれには関りを持ちたくはないし、手出しができるとも思わない。古い家というものには、いろいろとあるものである。

家にいろいいろな神仏と招致するのは構わないが、亡くなる前にはすべてお帰りを頂くか、家人に扱いを伝授してほしいものだ。

義母とその親戚はさほど行き来がある訳でもないので、娘婿の私が口出しをする任にはない。ただ、義母があの家を継承すると言った時には、それだけは勘弁してくださいとお願いをした。

義母の弟(長男)はすでに他界をし、その息子(つまり嫁の従兄弟)があの家を相続したので、やがては壊して更地にするのだろうが、私にできることは彼らの幸せと何も起きないことを”拝む”ばかりである。