自分が何者か

私は出身は中部地方だが、東京に長く住んだ後に九州にも長く住んだ。九州は好きだが九州の人間にはなりきれずに、今は東京に住んでいる。しかし、東京など仮住まいに過ぎないとも思っている。

東京の人間にもなり切れず、九州の人間でもない、かといって故郷の人間であるという自覚ももはやない。私はどこの人間なんだろうと思うことがある。そこにはある種の孤独感もある。

考えようによっては私は日本人ではある。その論法で抽象度を上げていくと地球人であり、太陽系人であり、銀河系人となる。また、見方を変えればこの世の人でもある(たぶん)。

ここが東京と考えるか、地球と考えるか、この世と考えるか。だが、それはすべて人間が貼ったレッテルに過ぎない。ここを銀河系と呼んでいるが、それは本当にそうなのか。ここはこの世で、あの世とは別なところなのか?単に自分たちが思い込んでいるだけかもしれない。

偉大なる大地に根付く民だと思っているが、象の上にいるアリでないという保証が本当にあるのか。

そう考えると自分がどこの人間であるかと考える事自体に意味がないことに気づく。私は何者でもあるが、実は何者でもない。

本人のとらえ方によっていかようにもなる幻想にすぎないかもしれない。そんな怖いことを考えてしまう。