映画 さくらん(ネタバレ注意)

映画さくらんに目を止めたのは、説明にあった高尾太夫という文字が気になった。職場の近くに高尾稲荷神社があるが、高尾太夫という実在の花魁を祀った神社であり、興味があった。

映画で扱われたのはどうやらその高尾太夫ではなかった。あとで知ったが高尾太夫とは襲名する名跡で10数人いるとか。

映画は蜷川実花監督の作品で美しい映像美に魅せられる。時代劇にはありえない色使いで見たことのない美しい風景を描いている。若い頃なら「男は・・」的な虚勢がはったが、今は美しいものは素直に美しいと思う。

主人公きよ葉が廓の世界で出世をしていく時、彼女は羨望の中で「なぜだか知らない。どうすればよいか全部わかる。どう首をかしげ、どう見ればいいのか。どう舐めて、どう動けばいいのか。なぜだか知らない。」というセリフがある。

才能とはそういうものだ。誰にも教わらなくても、なぜだかわかってしまう。前世の経験を体が覚えているかのように。

どれだけ努力をしてもそこまでいけない人がいる一方で、何も学ばなくても自然とできてしまう。そんな奴にはかなわない。

もちろん、才能があっても、それを活かす努力ができない人もいるし、才能を才能だと気が付かない人もいる。一面だけ見ると世のなか不公平ではあるが、誰にでも何かの才能があるのではないかと思う。だた、世の中ではそれが金に結びつかないと”才能”と呼ばれないだけだ。

ラストシーンでは出世をし、人から羨ましがられる縁談が得たきよ葉(日暮)は後先考えない暴挙にでる。

そのラストシーンを見て、お仕着せでなく、その時に一緒にいたい人と一緒にいられる自由がある事が、人には幸せなんだろうと思った。