うつ病はクスリでは治らないがクスリは必要

これは患者としての経験者としての意見であり、医療従事者の意見ではないことをまずお断りしておきたい。

私が最初にうつ病と診断された時代はまだ1990年代であり、「うつ病は心の風邪」と本に書いてあったが、回らない頭で何冊の本を調べても、軽度うつ病の話しか書いてはいない。重傷うつで、何年も苦しむような人のことは書いていないのだ。2010年代になって、様々なことがわかってきたが、それ以前はすべて手探りだった。

私はうつ病の完治には抗うつ剤だけでは不足でだと考えている。しかし、自殺念慮の恐れがある場合は抗うつ剤は必要である。この考えは自分の経験から来たものである。

抗うつ剤は自分に効果のある薬を見つけ出すだけでも、何年もかかるケースがあるのだが、効果があるとしてもうつ病の原因となる脳の器官を治してはくれない。セロトニンを補完してあげることで、うつ症状を和らげるだけなのだ。言ってしまえば、痛み止めのような対症療法であり、抗生剤のように病原菌を直接退治するような直接治療ではない。

私の素人理解としては、考え方、捉え方のクセのおかげで脳の脳内分泌器官が疲弊し機能障害を起こしてしまう病気である。生活習慣病と言っても過言ではない。これは脳内器官についてはケガをしたようなものである。ケガであれば、痛み止めで治る訳もなく、自己免疫による自然治癒を待つしかない。うつ病は脳内のケガなのだから、時間薬により自然治癒を待つしかないのだ。では、なぜ抗うつ剤を飲むのかといえば、自殺を防ぐような意味合いだと思っている。

私も長期に渡って、ベットの中から立ちあがれないような状態で、毎日「死にたい、死にたい」と念仏のように考えていた。それを防いだのは、「自殺をして妻子に心の傷を残したくない」という一念のみだった。それでも、薬が効くようになってからは、自殺念慮はかなり薄れた。

抗うつ剤自体の副作用があるため、最近は抗うつ剤を自分の判断でやめることを勧める意見もNHKなどであるが、自殺念慮がある方は抗うつ剤を飲むことをおすすめする。

私は「うつ病は心の風邪」ではなく「うつ病は心のガン」だと思っている。なぜかというとこれは死病であるからだ。もちろん、死ぬのは自殺によるものだ。これは絶対に防ぐ必要があると思っている。うつ病は死に関わる病気でなのだ。これは真摯に受け止める必要があると思う。