新型肺炎の恐怖

高校時代の友人と久しぶりに電話で話をした。お互いに元気であることを喜びあって、いろいろと話をしたが昨今話題の新型肺炎に話は移った。

私は感染防止に努める必要はあると思ってはいるが、マスコミが戦々恐々とするほど恐れる必要はないと思っている。私と私の家族の年齢と免疫力を考えればたとえ感染をしても死ぬようなことはないだろう。もちろん、死ぬ時は死ぬがその時は寿命である。人はいつか死ぬ運命にあり、それが新型肺炎である可能性は無くもない。

彼は全く違う考えを持っていた。自宅で仕事をしているので、必要以外には外に出ないようにしている。買い物はすべてアマゾンで購入をするという。今度飲みに行こうかと言っても、新型肺炎が落ち着くまでは無理だと言った。私が大丈夫だよというと、全力で大丈夫でない理由を説明してくれる。恐れやストレスはむしろ免疫力を引き下げるので、足を引っ張っていると思うのだが、彼の自意識は自分の免疫力では病気に勝てず、感染をしたら人より高い確率で死ぬと信じている。死への恐怖は根源的なものである。その扱いが簡単ではないことは私もよく知っている。

彼の宇宙は彼の意識によって作られており、私のとは違ったとしても、すべて正しい。私はそう考えている。人の数だけ、世界はあるのだ。

私にも別の心配はある。世の中が過剰反応をしているので、一旦感染した事が判明すると病人扱いというよりも凶悪犯罪者かゾンビ扱いを受けるだろうということだ。感染すると通常のインフルエンザや肺炎とはまったく別の問題が起きるのは恐怖以外の何物でもない。 マスコミも大衆の恐怖をあおりすぎである。

春を過ぎて初夏になれば、きっと彼も自宅から出られるだろう。その頃になったら、一杯飲みにいくのも良いだろう。