日本で一番の恐怖の場所?

今までに一番の恐怖を体験をした場所を紹介する。この話にはお化けは出てこない。(笑)

日本で唯一暴動が起きると呼ばれ、警察署は暴徒に備え要塞型になっているという大阪は西成区のあいりん地区。2年前の記事で恐縮だが、26歳の女性が住んでおり、昔に比べれば治安は変わってきていると書いているのを読んだ。なるほどと思いつつも、以前に自分で経験をした恐怖は頭から離れない。

実は私は3年ほど前に、大阪に仕事で行くことがあり、まったく土地勘がないので安宿のビジネスホテルを適当に予約した。

夜の20時頃に新今宮駅で降りて、宿に向かうと付近が物凄い光景であったのにドン引きをした経験がある。線路の脇道を歩くと人がゴロンゴロンと寝ている。

さらに進むとドヤらしき宿がある。ホームレスの楽園のようだ。昔、横浜の港の見える丘公園のあたりか、あの辺もホームレスのパラダイスで宿泊した翌朝の炊き出しの光景にびっくりをしたが、その比ではない。

翌日に大阪の人間に聞いたら、そこが有名な西成区のあいりん地区のど真ん中であるという。2泊で予約を取ってしまったが、面倒なのでそのまま泊ることにした。

男一人なので、そこまで問題はないだろうと考えた。ちなみに、ビジネスホテルの中にはさすがにホームレスはおらず、その代わりにいろんな国の外国人が泊まっていた。

大阪は関西空港から入って京都に行く外国人客が多いのだろう。驚くほど、外国人観光客が多かった。それは東京の比ではない。

あいりん地区での問題は外国人ではない。むしろ、日本人だろう。夕食を食べるためにアーケード街に行ったが、人通りは少なく、スナックなどから声は漏れ聞こえるがとても常連でないと入る勇気は起きない。

日本で唯一暴動が起きる街であり、何が起きても不思議でないという噂は聞いていたのでビクビクしてしまう。

2泊をしたが、迫力のあるダウンタウン像は見たものの直接に恐怖を覚えるような体験はしなかった。最終日までは。

最終日の朝にホテルをチェックアウトする前、 近くの郵便局に行ってスーツケースをゆうパックで発送をしようと向かった時だ。住宅街の細い道を歩いていくと、駐車場があった。ところがそこにはスーツ姿の兄さん方が大量に皆がポケットに手を入れて突っ立ってる。道を挟んで左右の駐車場に30人ぐらいはいたのではないか。

どうやら、親分の車待ちか何かのヤクザのお兄さん方だと思う。もちろん、通りかかっただけで何かされることはないが、あんなたくさんのヤクザを通常に見る機会などあるわけがない。

それは常軌を逸した光景だと私は思った。そこをスーと通り過ぎて、帰りは別の道を通ってホテルに戻った。

だが、ハプニングはそれだけではなかった。

前から上下ステテコに腹巻の姿の中年男性が歩いてくる。昭和の松田優作などのアクションドラマでは見るような姿だが、現代にいるとは思わなかった。

段々と近づいてくると、腹巻の上から何かがのぞいている。100万円の札束が、3つほど腹巻の上から顔をのぞかしているのだ。もちろん、それが本物かどうかなんてわからない。

ただ、このスラム街でそんなことをしている意味がわからない。人間は自分が理解できない存在はマジで怖い。

私はゆっくりとすれ違い、その後は速足でホテルに戻った。ホテルではすぐにチェックアウトをして、さっさと地下鉄の駅に向かった。

世の中で、死霊が怖い、生霊が怖いなどというが、生きている人間の方がよほど怖い。霊であれば、祓えばいい。むしろ簡単だ。

そんなものよりも、あいりん地区は私にとってまごうことのないホラーだった。(笑)

26歳の女性であんな場所に住む勇気がある方はすごいと思う。私はオッサンであるが、とても心が持たない。

海外でもそうだが、スラムにはスラムの作法がある。地元に詳しい人間と共に動けば、そんなに問題は起きないだろう。しかし、さすがに住むのは避けたいと思った。