自らを機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

この言葉はリクルートの社訓である。

江副浩正さんが社長だった時代はこの言葉を刻んだプレートが全員の机の上に配られた。多くのリクルートマンの座右の銘になっているはずだ。

まだ江副さんが本社ビルをうろついていて、新入社員の私でも気さくに挨拶ができた時代の話である。リクルート事件以降はプレートも配られなり、カモメさん色は失われていく。

ここ数年お付き合いのある友人がじつはリクルートに在籍してたことがあるということが後からわかった。彼を見ていると、人が尻込みするような難関に敢えて挑戦して、その中で自分が成長していることを実感するのが大好きなのがわかる。

敢えて無理目な所にチャレンジしていくのは、人と同じような道を選ばないと言う意味で実に素晴らしい。そしてまた新しいチャレンジをしようという計画を披露された。

その姿勢はまさに「自らを機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」の精神を体現してるねというとリクルートの社訓自体を知らないという。

これには参った。まさに世代間ギャップである。

リクルートを辞めてもう長くなるが、自分の中にこの言葉が深く刻み込まれている事は意識せざるをえない。

小さかろうが、どんなジャンルのことであろうが、チャレンジをして、その中の経験から学び、自分自身を変容させていく。

元々、わたしはそんな人間ではなかったと思うが、長い間職場ではそのように訓練され、自然と身についている。リクルートが人材輩出企業だと言われるのはこの言葉によると言っても過言ではない。

言葉は人を創る。心理学出身の江副さんらしいやり方だった。

環境は常に変化して、特に今の時代はそれが速い。事業も自分も生き方も常に変化していかねばならないが、そういった姿勢を若い頃に叩き込まれたのは実にありがたい話だ。

社訓自体を知らない後輩君が元々そのような性格なのか、それともリクルートで身につけたのかはわからない。

社訓はプレートが無くなっても、90年代以降も各職場で脈々と息づいていたのだろうななどと改めて懐かしく思った。