格闘家・ユーチューバー 朝倉未来

しくじり先生という番組で浅倉未来さんという格闘家のしくじりについて観た。

彼をどこかで見たことがあると思ったのは、Youtubeでぼったくりバーにわざわざ潜入するという動画をみたことがある。「俺は強いよ」と喧嘩を売るようなことをしたが、結局相手が折れて開放をされた。

危ないことをするなーと思うのと、やらせだろうかなどと思って、強い印象が残っていた。腕に覚えがあるのだろうが、プロの現役格闘家が一般人と喧嘩をしてしまっては活動に支障がでるので、いろいろと裏事情はあるのかもしれない。

彼は中学生の頃から、喧嘩に明け暮れて、不良漫画を地で行く人生を歩んでたわけだ。暴走族50人と喧嘩するという所はほとんど漫画かドラマの世界だが、実際にそんな人がいるわけである。

昔、元ヤンキーの外注SEさんが、若い頃はチェーンデスマッチをしたり、バイクでチキンレースをしたりして、少年院や刑務所に入った友人が多いことを若気の至りと自慢していたことがある。それだって私からすれば別世界の話だった。そういう人がいることは知っているが、まったく理解はできない。

朝倉さんはヤクザ相手に立ち回りを演じた時にはピストルを頭に当てられたという。彼には当時「いつ死んでも構わない」という頭があったらしく、自己破壊欲求の塊だったと言える。自己破壊欲求が内に向けばうつ病などになるし、外に向けば事件を起こすことになる。ピストル乱射や無差別殺人を行うのも、最終的には自分を破壊してほしいから行うことであり、彼も御多分に漏れずそれではないかと思う。そこには自分で自殺ができないことからの葛藤もある。

私自身、うつ病で苦しんだ経験があり、自己破壊欲求については心当たりがある。どうしようもない、黒い闇が自分の中にあることを感じていた。死にたいと思っても、そう簡単ではないことも理解している。

その後、彼は少年院に入って、自分が周囲から実は心配されているということに気づかされる。それで更生ができて、退所後はルールのあるスポーツとしての格闘家になった。

個人的には不良とかヤンキーと呼ばれる子供たちは、脳の発達がやや遅れた人だと思っている。失礼な話ではあるが、これは私個人の見解である。脳神経はストレスのある環境に置かれると発達が遅れることがわかっている。養育環境でネグレクトや虐待などのストレスがあれば、どうしても脳の発達が遅れる。家庭環境に問題のある人は不良になる確率が高いが、コミュニケーションや人の心を理解する力の発現が遅れた結果が、人が信じられず、自分を理解してもらえず、不良となって現れる。

その証拠に不良やヤンキーでも20歳を超える頃になると、すっかりと落ち着いてしまい、むしろ味のあるオッサンになっていくことが多い。実際に、昔は尖がってましたという元ヤンと話してもその多くは愛すべき一般人になっている。10代の頃には自分すらも守るものになってなったのが、守るものができると変っていくことになる。

その場合、一線を越えずに後戻りできるのと、一線を越えてしまい後戻りできなくなるのが運命の分かれ道になると思う。10代に一線を越えてしまうのが大きな後悔を生むのは彼の言う通りである。

自暴自棄になっての自己破壊欲求であれば、成長とともにやがては薄らいでいく。サイコパスのような発達しない機能障害とは訳が違う。ただ、サイコパスが100万人に1人とかの希少個体ではなく、数十人に一人いる珍しくもない存在であることから、彼がそうであったとしても不思議ではない。

私の一番興味を持ったのはこの朝倉さんが、一般の脳の発達が緩やかなヤンキーであったのか、恐怖や罪悪感のないサイコパスなのかという所であった。サイコパスは死の恐怖がないことが一番の特徴であり、それは発達の問題ではなく、構造的欠陥である。決して治らないと言われている。暴走族50人相手に喧嘩をしたり、ピストル相手に学生が立ち回るのは常人とはかけ離れている。

番組で話す彼はかなり落ち着いている様子もあり、過去を反省して、自分と同じようなことをするのはやめようと呼びかけていた。反省ができるならサイコパスではない。罪悪感がある証拠だからだ。しかし、彼の中に恐れが芽生えたかどうかは判別はがつかない。

また、サイコパスは情報操作が得意であるために、見た目に判別することは専門家でも難しいという。

世の中にはいろんな人生の人がいる。彼のように戦闘(殺し合い)に向いた人物は戦時下とか戦国時代に生まれたら、さぞかし活躍ができ、思うがままの人生が歩めただろう。今の時代はそういう人には少々息苦しいかもしれない。

ただ、平和な時代だからこそ、しなくてもよかったこともあるかもしれない。世が世なら大量殺人者として英雄になるだろうが、その反動としての苦しみもまた壮絶であろうから。