奇跡のミノルタ?

以前にebayで個人輸出をしていた時にインドに送った荷物が返ってきた。それがなんと3年前に送った荷物が宛先不明で返送されてきたのだ。

以前の住所の郵便局から電話がかかってきたので、なんだろうと思った。「国際郵便で送った荷物が返ってきているのですが」という。私はebayをやめてから2年は経っている。いったい、何が起きているやら。

輸出業をしていた時に郵便局員さんにはいろいろと懇意にしてもらっていた。2年前に引っ越しをしているので転送届は期限切れだが、たまたま郵便部の人が私のことを覚えており、ケータイに電話をくれた。普通なら私の元には返ってこなかったし、戻ったのはすごいことだ。

受け取ってみるとミノルタのフィルム式コンパクトカメラであった。発送をしたのは2017年9月12日、戻ってきたのは2020年9月17日。なんと3年間も宛先不明でさまよって、住所の変わった送り主の元に戻ってきた。

そもそも、ebayでクレームが来てなかった事も不思議である。

インドに限らないのだが、発展途上国で送った荷物が途中で遅れたり、紛失することは珍しくはない。南米へ到着が半年後でも全くノークレームだったこともある。受取人も気が長い。日本人なら切れている。過去には海外に送った荷物はいろいろと行方不明になっている。

日本ほど几帳面な国はむしろ特殊で、日本人には信じられないほど海外の郵便局の荷物の扱いがいい加減なのも重々思い知らされている。

しかし、3年かかって戻ってくるというのは驚きだ。「奇跡のミノルタ」と呼んでも良い。インドの郵便局も相当にいい加減、もしくはおっとりさんである。

そう思うのとは裏腹に、インスピレーションは別のことを語る。現実の世界では確率が少なかろうが、偶然が重なろうが、起きることは起きる。

たとえば、TVで東北には一卵性3つ子の選手が新体操で二組いるというのを見た。一卵性の3つ子というのは非常に稀な存在であり、それが二組も揃うなどというのは奇跡的だ。

しかし、確率論で少なかろうが存在するものはあるべくして存在する。あたかも普通にだ。

実は確率的にありきたりなモノも、確率的には稀なモノもどちらも様々な偶然が重なってできており、どちらも同様に奇跡の産物なのだ。偶然が重なって出来たのがありきたりなモノだったに過ぎない。。

3年かかって、偶然が重なって、返ってきたカメラは特別運が良い訳ではなく、すべてのものが同様に偶然の産物、そして必然の産物として存在している。

ここまでくると、言ってる意味がわからない。(笑)

片方で苦労して帰ってきたカメラ君を運のいいカメラとして捨てずに残そうかと思うのだが、インスピレーションはそれが決して特別なものではないと教えてくれる物だという。

日本人は物を擬人化して、そこに感情や意識があるかのように考えるのが好きである。宇宙の迷子から帰ってきた探査機ハヤブサのように、三年迷子になって苦難を乗り越えて帰ってきたカメラを邪険に扱う気にはなれない。どこかに飾っておこう。