飴と鞭の陳腐化

緊急事態宣言が始まった。1/8の街は何も変わらなかったが、1/9には変化があった。

テレワークで家に引きこもっていたが、夕方に近所へ買い物に出かけた所、居酒屋を中心に飲食店が休業をしていた。

槍玉に挙げられている飲食店には緊急事態宣言の影響力は大きい。開いている飲食店にも客の姿は少ない。

街の様子はと言えば、人通りは全く減ってはいない。ほとんどは若者である。彼らには緊急事態宣言はあまり関係ないようだ。

そもそも宣言前でも自粛している人は自粛しており、自粛しない人には効いていない。

若い人を中心に街の人混みが多ければ、感染は止まらない。まさに一人一人の行動が問われている。

テレビでは事実を伝えているつもりかもしれないが、恐怖心を煽るような意図の番組が多い。確かに恐怖心を煽ると制限はできるが疑心暗鬼になったり、精神的に参ってしまう人がでてくる。

事実を伝えないと医療現場の逼迫感が伝わらないのもまた確か。

また、正義感を煽ると今度は行き過ぎた正義によって、コロナ警察のように他人と問題を起こす輩が増える。他人でなく、自分がどうするかが問題である。

どうすれば良いのだろうと思うのだが、人の自発的な義侠心に働きかける必要があるのだろう。

義侠心というのはヤクザを連想をするが、任侠というのは元々は人の痛みがわかり、人のために自分の体を張って立ち向かうことのことをいい、無法者の自分勝手さのことを指すわけではない。

人の共感力に働き掛けて、自らが自粛なり、行動なりを起こそうと働き掛ける必要がある。

ところが、人を変えよう、人をコントロールしようと働き掛ける場合、恐怖心に働き掛けて行うのが簡単であるので、そのような手法をとりがちだ。

飴と鞭により人をコントロールしようとしても、刺激には慣れて、刺激を強くしないと効果は出なくなる。飴と鞭は時間とともに陳腐化してしまう。

自発的なモチベーションを持ってもらうにはどうすれば良いのか?テレビも政治もそんなことを考えないと乗り切れない危機がそこにある。

市民の中にはそれを理想論だという人もおり、そうなると鞭を強くすることになる。強権発動をすることに賛同する市民が増える。今の海外や昔の日本帝国のような方向に向いてしまう。

それは人類にとっての退行に過ぎない。