ニアミス

年末にのった飛行機は満席だった。

年明けしばらくして、電話がかかって来た。某県の保健所だ。乗った飛行機にコロナ患者が乗っていたという。これで私も濃厚接触者か?と頭によぎった。

説明を聞くと航空機は換気に優れており、マスク着用だったので濃厚接触者には該当せず、行動に制限はないという。

14日間は体調に注意が必要だが、何か症状があった時だけ近隣の保健所に連絡をするように言われた。

住所だけ確認されて、最寄りの保健所に連携するとのこと。

どこの席かは教えられないと言っていたが、離れた席のわけもなく、左の若い女性か、右の神経質そうなオッサンか、前後の席にいた人間であろう。

近くに咳や鼻水、具合の悪そうな人間には気づかなかった。

行動に制限はないとは言われても、連絡が来てから残りの期間は一応極力は自粛はした。ドキドキして過ごした割には問題は起きなかった。

今は14日間を無事に乗り越えて、疑義を払拭した形である。自分に体調不良はなく、周囲にもなかったので、確かに感染はないはず、である。

本当にそうなのか?

感染して発症しないケースはある、そしてそのまま治る。コロナの場合はそれでも感染力があるように聞く。

私も周囲も感染して、発症しないだけということはないのか?疑い始めると疑心暗鬼になってしまう。

私もPCR検査を受けて行動制限される方が正しいような気はするが、検査できる量や補償の問題もある。下手をすれば勤務先の業務も停止することになる、様々考えてのことなのだろう。

そもそも、発症する前や無症状でもキャリアからは感染するのだが、発症してからしか行動制限はしないのだから、こんなことをしていては感染が収まるはずもない。

また、飛行機だから近くに感染者がいた事が連絡が来た訳だが、電車やお店で近くに感染者がいたとしても誰も知らせてはこない。

実際に見分けられない感染者がすぐ近くにいたのだ、どこにでも地雷がある現実を実感させられた。そんなことを考えてしまうと怖くて東京になんて住んでいられない。

かと言って、自宅から出ないわけにはいかない。気をつけて、でも冷静に必要な行動はとるしかない。生活のためには買い物も、仕事も、食事にも行くことになる。

年末に同僚が発熱してPCR検査をしてドキドキしたが陰性だったり、自分がニアミスしたりしたのだけど、結局は私の知る範囲の人でコロナ陽性になった人はいない。だが、世の中では沢山の人が感染者になっている。

情報に踊らされてもいけない、自分に起きたヒヤリハットだけに左右されてもいけない。しかし、慎重な行動はしないといけない。

息苦しいお話である。