映画館で人気シリーズの最終章を観てきた。撮影大変だよねと思うようなスゴいアクションシーンの連続である。
この作品は、散々と人斬りをしてきたが、人を斬らないと決意した最強剣士の物語である。
敵役の縁はその義理の弟。彼は姉を救えなかったことを後悔し、自分を許せず、その原因を作ったと信じる剣心と彼を取り巻く世界ごとを恨んだ。
助けたかった人、生きていて欲しいと思った人を救えなかった自分が許せない。そんな思いは、今生ではなくとも、前世や先祖の記憶として持っている人は少なくはないと私は思う。
特に自責の強い人。私もそんな一人だった。
自分が嫌いで、他人が嫌いで、世界など滅んでしまえと思う。そしてまた、そんな自分が大嫌いになるが、なんでそうなのかがわからない。
縁は最後に姉の思いを知り、救われる。それがなくば、たとえ剣心に復讐を晴らしても、彼は救われなかっただろう。なぜならば、本当に許せなかったのは自分自身だから。
過去の記憶も、前世、先祖の記憶も全てを受け取り、許すことで、苦しみを手放すことはできる。それはいつであっても遅いということはない。
どんなことも、あれでよかった、これでいいのだと思うなどできないと思うのが、自我である。自我はそのこだわりの集合体であるのだから、当然である。
自我自体を完全に手放すと悟れるかもしれないが、この世を生きるのには退屈かもしれない。しかし、苦しすぎる思いは手放したいものだ。
剣心や縁のような思いは、剣豪でなくとも、実は誰もがもっている。
ド派手なアクションの裏で、これは誰にでも起こる物語であると私は思う。