つわものどもの夢の跡

テレビを観れば連日オリンピックでアスリートが勝ち負けや記録に一喜一憂し、世界中の選手が雄たけびを上げる様子が報道されている。

すばらしい記録を出して、感動を与えてくれるという演出が、それにのめり込めない者には空々しくも見える。

アスリートにとってはまさにオリンピックは夢の舞台であろう。夢の真っ最中である。それは幸せなことに違いない。

片方で東京のコロナ感染者も新記録を出しており、3865人という数字が目に入る。

もはやあと数日で5000人を超えるのも夢ではない状況である。チャートで抵抗線をブレイクする時はそんなものだ。この夢の舞台が終わる頃には夢にも見なかったようなコロナ感染者数を目の当たりにしているのかもしれない。

夏草や 兵どもの夢の跡 

芭蕉は戦争の虚しさを読んだのだが、感動の平和の祭典が同じようなものに見えるのは私だけだろうか。

ちなみに、アスリートが悪いとは思っていない。彼らもまた苦しい立場にいるのはわかる。

自滅的とも言えるようなこんなことがなぜ起きるのかを考えると、人間とはとても不可解な代物である。