仕事でご一緒している同僚と今年は初めて作業のプレ確認でお会いした。今まで彼はこの部署に異動して誰とも飲んだことがないのだが、一杯行きませんか?と誘われた。
彼はかなり個性的な人物で、夏頃に異動してきてから結構経つが、周囲は彼がどんな人物か分かりかねていた。自分のことは何も話さないのだ。私とも朝会を毎日2〜3人でしているが、馴染んではいない感じだった。
その日は夕方からの確認会だったが、他のメンバーとなら飲みに行くことを想定するが、彼とではそんなことを考えなかった。だから、一杯行くか?と言われて少し驚いた。
彼が好きそうな大衆酒場でホッピーを飲みながら、いろんな話をする。私も引き出しは多いので、不思議な話、アウトドア、音楽、映画、アニメなどいろんなカテゴリーの話をすると、安心したのか彼は自分の秘密をカミングアウトをした。不思議な話では常識外れなことも話す私には少々の事を話しても驚かないと思ったのかもしれない。
多趣味な彼の今の一番はアイドルの追っかけだという。十分すぎるオジサンな彼がアイドルというのは意外だったが、過去にも超オタクのアイドル好きおじさんの話を面白おかしく聞いたことがあるので、むしろ私はその人間くささに好感をもつ。そのアイドルは私も知ってはいるがかなりマイナーでディープなグループである。単純に面白いなーと思った。
なかなか、受け入れられなにくい趣味である自覚のある彼は私の反応に安心していた。
何時間か経って、彼はしきりに「今日はあなたと飲んで良かった」と言っていた。teamsを使って音声会議でやる打ち合わせでは人間関係はまったく深まらない。その日の朝会の時と飲んでからでは親密さがまったく違うと言っていた。
彼はお世辞にもコミュニケーションが上手いとは言えない。むしろ。胸襟を開けない人だ。そして、周囲の心配も彼には全く響いていないようだ。それでも酒の力をかりての膝を交えてのコミュニケーションは効果的であったようだ。
世界最古の宗教施設と言われるギャディクリ・テペにも酒造施設があったという。太古から人と人が理解し合うには酒の力が使われた。
おじさん達は今の若者に飲みに行こうというとパワハラを気にして躊躇するぐらいの時代ではあるのだが、私自身、酒の場で仲良くなることの重要性は山ほど経験してきた。やはり、適度なお酒は重要なコミュニケーションアイテムである。
何はともあれ、彼が仕事上クリティカルな時期にも平気で有休を取る謎がアイドルのコンサートがあるとわかった。
帰り道、千鳥足になった彼を抱えて駅に行く途中、個人的には本人が大好きなことには応援してあげたいとは思う。しかし、あのお堅い会社の中でどこまでかばってあげられるものかと天を仰いだ。