神隠し、違う世界に迷い込んだのか?

不思議な体験をしたという方から聞いた話である。病院に定期検診を受けに行った時の話である。

受付で順番待ちの時に少しウトウトとしかけていた。すると周囲の風景が木造造りの古い建物に変わっていた。さっきの待合室とは違う、座っていたイスも木造の椅子に変わっていた。周囲にはモヤがかかっている。

座っているベンチの横には大型の黒い犬がいた。犬は彼の耳をペロペロと舐めて何処かに行ってしまった。反対側の横には赤ちゃんを連れた女性がいた。その赤ちゃんもまた彼の耳を舐めた。そして、女性もまた赤ちゃんを連れてどこかに行ってしまった。

その時、診察で名前を呼ばれたと思ったら、元の病院の待合室に戻っていた。

彼が診察室に入ると医者は「大変お待たせをして申し訳ありません」と言った。彼がそんなに待ってはいないと言うと、「2時間ぐらいは待ったでしょう」と答えた。

彼が自分の時計を見ると確かに2時間経過していた。自覚としては、木造の建物に行っていたのはごく短い時間だった。2時間も経った気はしない。

夢でも見ていたのかと思うが、待合室で2時間も寝られるものではない。

彼は自分がどこに行っていたのか、いまだにわからない。自分が眠っていたとは思えないし、ではあの木造の建物は異次元に迷い込んだり、タイムスリップでも起こしたのか。モヤの中の木造の部屋の中はとてもハッキリと覚えていると言う。

神隠しのようなものだと、体感時間と時間の経過が違ってしまうと聞く。彼は2時間ほど神隠しにあったのかもしれない。

実に興味深い。