36年ぶりに作られた誰もが知る大作の続編。当時、トップガンは米海軍の協力で作られた戦闘機の迫力映像が話題だった。ストーリー自体は薄っぺらいハリウッドらしい作品であったとも思う。
トムクルーズが制作権を買い取って勝手に続編が作れないようにして、満を辞して制作したとう本作。劇場に足を運んでも後悔のない作品だった。
続編を作る時、大人の事情でいろいろとつながらないケースは多い。ランボーなど1作と2作目以降は別物だった。トップガンは前作の設定を完全踏襲した作品となっており、若き日に見た作品のイメージを壊さないだけでなく、年輪を重ねた主人公の苦悩もしっかりと描いた厚みのある作品となっている。
(イランと思われる)敵のウラン貯蔵庫を危険な作戦により攻撃作戦を実行する。空のミッションインポッシブルである。もっとも、その作戦内容は漫画エリア88で見たことのあるような作戦ではあるが。タイトロープオペレーション。
F/A18スーパーホーネットという旧式機で、第5世代戦闘機の護る貯蔵庫を攻撃するファンタジーは映画ならではである。最後はF14トムキャットが出て来てしまう所は、大サービスである。イランはパーレビ王朝時代にF14を購入している。F21、F35など新型はほとんど出てこない。
また、トップガンといえばカワサキのGPZ900だが、当時のバイクと最新のninjaが出てくる。アメリカではヘルメットを被らなくても良いのか?などとつまらないことが気になったが、とても懐かしい。
今回の作品の中では病死する旧友はいるが、戦闘で死ぬ人はいない。マーヴェリックは盟友を訓練中に無くしたことから、隊員が死なないことにこだわった。その際に「そんな説明で遺族が納得するか?」という。戦死すれば遺族ができるのだ。
制作されたのはウクライナ戦争の前ではあるが、戦争をすれば家族を失った遺族の悲しみは癒されることはないことを描いている。反戦までは行かないが、戦争の悲しさを伝えようとする作品ではある。世界の人はこの映画を見て、ウクライナの戦争をどう感じるのか。
この作品はハッピーエンドで終わる。でも本当にハッピーエンドか?
戦闘中に撃墜された敵の戦闘機のパイロットは死んでいるかもしれない。そして彼らにも家族はいる。(作中では脱出したようには見えるけどね。)
戦争映画というのは片方のサイドの描写では不十分で、ガンダムや銀河英雄伝説のように両サイドの側の描写によって、より理解が深まるものである。
ともかく、トップガン マーヴェリックは観て楽しかった。いろいろと考えさせられた。