リコリス キャンディ

子供の頃、コペンハーゲンでひどく不味い菓子を食べた。何かの拍子にそれを思い出して、ネットで検索をした。

世の中便利になって、「ゴムの味、お菓子」で検索するとそれが出てきた。リコリスキャンディ、リコリス菓子というらしい。

見た目は真っ黒で形はワイパーゴムのよう。味はゴムを少し甘くしたような味。とにかく不味い。しかし、お菓子として売っていたので、無理に食べようと試みて、やはり挫折した。ゴミであった。

改めてネットで調べてみるとヨーロッパの伝統的なお菓子で人気であるらしい。コペンハーゲンでは普通に売っていたので、ゲテモノ、キワモノの類ではない。日本人の味覚には合わないとwikiに書いてある。リコリスとは甘草の事で漢方薬にもなっている。ドクターペッパー、ルートビアにも使われているらしい。そういえばそんな味がしたような。

特筆すべきは、あのゴム味を好む人類がいるのである。

昨今、多様性という言葉が流行っており、ほとほとそれを理解するのに苦労をしているが、あれを美味しいという奴がいるのが理解できない。

美味しいと言われる物が万国共通で美味しい訳ではないことがよくわかる。蓼食う虫も好き好きというが、私は蓼は食べられない。

人間話せばわかるというのは幻想であり、何をどうしたってわからないことはある。それが日常的なことにでもあるのだが、人は多分分からずに日々を送っている。

私にとってはどうでも良いことが別の人にはどうしても許せなかったり、私が嫌悪することを他人が好きだったりする。それは日常的なことでも、非日常的なことであっても。同じ人間だって、感覚など全く違うのだ。

人それぞれに宇宙はある。いくらか少しでも、理解しあえることこそが、奇跡なのかもしれない。