藤井風が今海外でとても人気があるという記事を読んだ。3年ぐらい前に「きらり」という歌が妙に流行った若い歌手であるのは知っていた。
当時なぜ売れているのかはよくわからなかったがイケメンだからだろうと思っていた。ただ、昨年のドラマ主題歌「花」がなぜだかめちゃくちゃ気になったのは覚えている。
改めて当時はなかったMVを何曲か見てみたら、愛、全てを差し出す、愛でる、生と死に境はない、儚い世界、全ては変化してゆく、手放すと自由になれるのようなキーワードが散りばめられて、何か悟りのようなことを歌っているのでとても気になって調べた。
岡山県出身の彼は英語と音楽が得意な青年である。お父さんがサイババが大好きだったらしい。なるほど、サイババの教えが音楽の至る所に散りばめられている。
「花」のMVを改めて見ると花の棺桶を引く藤井風と花の棺桶に入る藤井風、そして様々な色を纏った藤井風が踊る。歌詞の中の主語がわかりにくいが、主語は様々な花に生まれ変わる神である。それは私であり、あなたである。主語は俯瞰していて、生まれ変わってゆく何か(神)の意識だ。うちなる花をいろいろと経験していく。永遠に探し回ってゆく。
彼の歌を聴いていると思い出すべき何かを思い出せる人がいるのではないか?と思わされる。インドで撮影した「Grace」にもその宗教観が色濃く出ている。「まつり」「満ちてゆく」「feelin go(o)d」などもそうだ。
私もサイババに会いにインドのアシュラムまで行った人なのでこのサイババ色というのはとても親近感がある。懐かしい訳だ。
youtubeの再生数を見るとMVは軒並み4000万再生を超えている。日本人だけの再生数ではないのだろう。日本人アーティストでいうと超トップアーティストと変わらない。
彼は日本での認知としては何年か前にブレイクした若手歌手である。その割には驚くべき再生数である。世界的ヒットというのはそうなのだろう。
世界中で売れるきっかけになったのはタイのTikTokで「死ぬのがいいわ」をBGMで使われたことに端を発するらしい。日本ではあまり売れてなかった歌だ。
この歌は「あなたと別れるぐらいなら死んだ方がマシだ」という歌なのだが、「あなたとおさらばするなら死ぬのがいいわ」とやっちゃった。特に「死ぬのがいいわ」をリフレインする。これは日本人的にはとても聞きづらい。外人なら気にならないかもしれない。私も英語やフランス語で「I want die」と歌われても音でしかなく多分聞き流して、気にならない。
藤井風の歌にはかなりと生と死が出てくる。生と同じくらい自然に死がある。生まれ変わりも含めて、自由自在なのだ。
こんな曲がきっかけで世界ヒットとは実に興味深い話だ。