怒鳴り散らかす男

図書館から出てくる時、老人と呼んで良い男がいきなり怒鳴り散らかしていた。通りすがりで詳しくはわからないが、図書館員が別の老人からのクレームを受けて、何か注意をしたようだ。

それに対して「膝が悪いので仕方がなくXXXしたのだ。そんなことも知らずに勝手なことを言ってるんじゃねーよ。」と怒鳴っている。このモンスター利用者に相手の館員は言い返すこともできず黙ってしまった。

怒鳴る男は膝が悪いことで散々嫌な思いをしてきたのだと思う。それで心が痛くて仕方がないのだろう。 それはよく解る。

それをわかって欲しいのだが、初対面の人間にそんなことがわかる訳もない。でも、脚が悪いという障害を盾にして、好き勝手に憂さを晴らすのはいただけない。

もし、怒鳴る男が穏やかに説明をすれば、館員は非礼を詫び同情的に対応をしてくれただろう。だが、言いたい放題にされた館員は「脚が悪いのは自業自得で、自分が悪いのだ。そんなこと他人に当たるな。」と思ったかもしれないし、彼の自責の念を強めたかもしれない。

どちらにしても、怒鳴る男は館員から温かい恩情を引き出すチャンスは自ら捨ててしまった。障害を盾にしたモンスター利用者となり、自分の憂さ晴らしを無意識に優先をした。

だが、これは私も含めて多くの愚かな人間が行っていることである。自分がやっていても気がつかないのだが、他人がやっているのを見るとこれが本当に醜いということがよくわかる。

この話には 別に トリガーがいる。館員にチクった老人である。 怒鳴る男は その老人とももめていた。「外へ出ろ、決着をつけるか?」と怒鳴っていた。まるで大昔の西部劇である。

膝の悪い老人と見るからに老人が外にでて何をするんだろうなどと笑ってしまいそうだった。チクった老人の中にも何かネガティブな邪気が結構たまっていた。

それが怒鳴る男のネガティブなエネルギーを誘発し、さらに館員を襲うことになる。チクる老人から出たネガティブなエネルギーは怒鳴る老人に渡り、今度は館員に蓄積する。

そしてどこかでまた館員が別の形でネガティブなエネルギーを他人に暴発させるかもしれない。そうやって、ネガティブなエネルギーは人の間を渡り歩く。

自分にもあることである。気を付けないといけない。