マナー

昼休みに共用スペースで弁当を食べていると私しかいなかった丸テーブルに男性がお湯の入った緑のタヌキを持って座った。白髪が目立つ割に顔が若く、40代か、50代かわからない彼はおもむろに食べ始めた。

周囲をせわしなくキョロキョロとしつつも、目の前にいる私のことはまるでいないようにしている。一気に食べて何も言わずに消えていった。

共有スペースなので別に構わないが、昨今はコロナ禍もあり、「ここ、いいですか?」と聞かれることが多かったので、いきなりのことで少しびっくりした。

コロナ禍のせいでより一層対人マナーを気にする傾向があるが、その中でもまったく気にしない人は気にしない。

マナーなんてものはある程度、感性や価値観が近くないと成立などしないものだ。世の中には人に気を使ったりしない人もいるし、人に声かけるのが驚くほど苦手な人もいる。

「ここ、いいですか?」と聞かれて、私は拒否することはないだろうが、そんなこと聞くぐらいなら死んだ方がマシと考える人もいるのだろう。

世の中にはいろんな人がいて、実に面白い。