星野源と小沢健二

取り溜めビデオで星野源の特集を見た。彼はワールドツアーを行って、また新しい境地に出会ったと語っていた。彼は常に新しいことをして、人とつながり、人を楽しませるのが好きなようだ。

音楽だけでなく、俳優やコント、文章も書く。才能にあふれると言えばそれまでだが、常に誰も見たことがないことを探しているんだろう。

海外のアーティストが彼を評して、ジャズのような繊細な旋律をいともたやすく作っていくことに驚いていた。

彼の作品を初めて見たのは「夢の外へ」というMVだった。何かとても新しいものをみた気がした。SUNで売れるより随分前だったと思う。映像の面白さと歌詞の面白さに惹かれたと思っていた。しかし、彼の曲は確かに面白い。私はジャズは好きなのだが、言われてみれば彼の曲はとても繊細で、かつパターンにはめた感じがしない。それに惹かれてたのかもしれない。

元々、インストルメンタルのSAKEROCKというバンドをやっていたようで、作曲が強いのもなるほどと思う。

星野源を聴いているとふと小沢健二を思い出した。私は彼の曲は好きだ。渋カジ音楽として登場し、スチャダラパーと共に和製ラップで世を席巻した彼だが、むしろその後少し前衛的なジャズ風になった彼の方がずっと好きである。彼の音楽は常に斬新であったし、今聴いてもまったく色あせない。

星野源の歌詞と曲にも私には同じ香りがする。

J-POPの前身となる歌謡曲は民謡をベースにした演歌だけではなく、世界中の音楽を取り入れていた。昭和歌謡にはブルース、サンバ、ジルバ、シャンソンなど世界中の音楽をパックって持ってきていた。最初は単純なコピーして日本語化したものだったが、だんだん和風に変化をしていった。その後、J-POPと呼ばれるようになってもやはり海外からの影響はかなり受けるのだが、それをすべて独特の和風化にしていく。

日本人は昔からとても新しいモノ好きで、初物とか新物が大好きである。なので、見たことのあるものでなく、誰も見たモノではないものを生み出す。

極東と言われる場所に位置し、古来から欧州、中東、中国、インドなどから様々なものがたどり着く環境だったので、一から創造するよりもアレンジがうまくなった感はある。

日本の文化は世界中の文化のごった煮である。ただ、ベースにはカツオだしが効いているのだ。渡来したものをそのままでは使わず、常に新しい別物に仕上げる所がある。音楽に限らず、料理など他の文化でも同様だ。カレーもラーメンも、とんかつも皆原型は外国にある。

天は二物を与えずというが、作詞も作曲もできて、歌えて、踊れて、コントや役者もできる、さらには文章も書けて本も出す。こんな人が芸能界には結構いる。すごいことだなとため息をついてしまう。(笑)

今後も誰も見たことのないものを私に見せてほしいものだ。