HSPな人たち

以前から一度行ってみたいと思っていたイベントバーエデンという店がある。行きつけのバーの常連さんが面白いと勧めていたからだ。毎日日替わりで、一日店長がテーマを決めて、イベントを行うという風変わりなバーで名古屋や福岡にも出店をしている。

HSPバーをやっていたので行ってみた。入った瞬間、自分が場違いなのを感じたのは、とにかく客層が若い。そういえば、勧めてくれた常連さんも30代ぐらいであった。20代、30代が多いところにオジサンが行ったのだから、最初は臆してしまった。

自覚的にHSPという人たちが来ていて、自分もそういう自覚があるので、興味の方が勝ってそこにいることにした。

何人かと話すと。HSPであるのと同時に、メンタルで悩む人や発達障害で悩む人が多かった。HSPとそういったモノがイコールではないにせよ、HSPが生きづらさを持ちやすく、メンタルの悩みを持ち易いのは間違いないのだろう。

スピリチャル系の集まりにいるHSP、エンパスな人に比べると気の感覚のような超感覚を持つタイプはあまりいなかった。

私自身は障害ではないのだが、たぶんADHD風な要素はもっている。話が拡散しがちで、興味が多方向に向かうのはそういう傾向かもしれない。さらにうつ病で苦しんだ経験もある。

健常者の中にも、ADHDやアスペルガー、さらにはサイコパスの傾向がある人は少なくはない。多かれ少なかれ、苦手な要素があるのが人間であり、完全無欠な人がどれほどいるのだろうとすら思う。

そこに参加している人たちは、ほとんどツイッター、ツイットキャスティングで積極的に発信をしている人であった。ハンドル名で呼び合う。特に発達障害などのネガティブ要素の発信を積極的にしていることに少々驚いた。言ってしまえば、彼らは新しい文化の発信者と言える。

非HSPの人たちには理解されにくい話題も含めて、闊達に話すことができたので、私としても楽しかった。

マイノリティの人たちと話をする時にいつも感じる事ではあるが、人それぞれに視点によって本当に見方が違うことを感じる。私自身が共感できないような感覚もあるのだが、その違いを受け入れていくのが昨今の傾向である。

話しの中で一番印象に残ったのは、「推し」や「バーチャル」に関しての話題だった。これはHSPとはやや外れて、世代間ギャップの話だと思う。30代より下の人が「推し」にバーチャル的にのめり込むことが「普通」「一般的」「大多数」だと言っていたことだ。

私の世代は、「オタク」の走りでファン活動にのめり込む人はいたとは思うが、むしろマイノリティとして色物扱いをされていた。私自身はアイドルなどに熱中したことはない。多少熱中するものがあったとしても、そんなに深くはない。周囲にそういう人がいるのを不思議に思っていた。

40代の男性客がそれを評して、40代以前にはそういうプラットフォームが揃っていなかったという説を語った。たしかにそうかもしれない。「オタク」の先駆者たちが道を作り、そこに流れ込む人間が増えたのだろう。

現実の上に、バーチャルなレイヤーを共存させて生きている。それが現実逃避といえばそうであるし、つらい現実を器用に生きる知恵ともいえる。なかなか共感ができない自分があるものの、そういう方法もあるのだと思った。

世代が違う人にしても、様々なマイノリティの人と接することは、共感できるか否かは別として、新しい刺激により視野を広げることができる。実に面白いと思う。