中学時代の同級生に会って久しぶりに語り合うと、実は子供の頃から彼が不思議な体験をしてきた人だと分かった。
彼は幽体離脱をした経験や何かが囁く言葉を聞いて失せ物の在処を言い当てたことがあり、自分でも不思議であったという。
以前に住んでいたマンションで寝ている時に知らない男の幽霊が枕元に立った。翌日、大家が亡くなったので部屋を退去してほしいと不動産屋から連絡が来た。どうやら、亡くなった大家が様子を見に来たようだ。
幽体離脱した時には、自分というものが遠くにあるように見え、さらに対象が小さく遠近感が違って見えるという不思議な光景をみるそうだ。
彼のお母さんも不思議な人で、オーストラリアでバックパッカーをしていた時、連絡先を知らせてないホテルに電話がかかって来て、それを受けるとお母さんだったという。
お母さんはおばあちゃんが枕元に立って、連絡するようにと居場所を伝えたと語ったという。かなり神がかったお母さんである。
故人が枕元に立つことはさほど珍しくはないが、どこにいるのかわからない息子の泊まるホテルを知る事ができるとは不思議な話である。
親子揃って霊能者的な能力があるということになる。体質というものは遺伝するのだろうか。
彼はほとんど自分の不思議な体験は奥さんにも話したことはないという。科学的には証明できないことを口にするのは勇気がいるので、普段は隠している人は結構多い。
私は不思議な体験を口にするので、相手もカミングアウトしてくれることがある。普段は語らないが不思議な体験がある人は、経験的には数十人に一人ぐらいはいると思う。意外と多い印象だ。
また、今の時代は三十年前なら変人扱いされるような内容を語っても、結構受け入れる人が増えていることも実感する。
霊能者とか気が読めるという人も、言ってしまえばLGBTや発達障害のような一種のマイノリティであるのだけど、社会のマイノリティへの迫害はやや減っており、受容性は昔に比べると格段に上がっている。
自分の不思議な体験を皆が語れるような時代になると良いと期待したいものだ。