うつ病で苦しむ人へ

私は精神疾患の医療専門家ではない。しかし、自律神経失調と言われてから足掛け20年メンタルの問題で苦しんだ体験者である。

今、たいして社員が多くない会社でも常に数人が休職をし、いろんな現場でメンタルで苦しむ人にお会いする。私が最初にメンタルで失調した時代に比べて、圧倒的に精神で病む人が多い。

うつ病で苦しむ人にいくつか申し上げたいことをまとめてみた。何かの役に立てばと思う。

長文で申し訳ないが。

①死なないために行動を優先すること

20年前の本には「うつ病は心の風邪」と書いていた。誰がなっても不思議でないという意味だが、実態を示してはいない。経験者ならわかるが「うつ病は心のガン」である。それが死病であるという意味である。

社会の中で「逃げるな、立ち向かえ」と精神論を振りかざす人がいるが、何もわかってはない。そういう経験が彼にないだけで単に未熟なのだ。立ち向かってはいけない時はある。「無理」と思えば何からも逃げていい。人でも、組織でも、役割でも。

リクルートをやめる前に年下の上司が私が辞めることを罵倒した。彼は自分ならば妻子がある身の上なら最後まで戦い続けるといい、私を負け犬となじった。彼は有能ではあったが、負けた経験がない未熟者で無知であった。あの”猛烈企業リクルート”の同僚の中でも、そんなことを口に出した大馬鹿者は唯一彼一人だった。

今となっては彼の言いたいことはわかるし、恨んでもいないが、やはり忘れられない光景だった。いじめっ子というはの忘れてしまうもので、後で聞いてもそんなこと言ったかな?などというものだ。しかし、言われた側は忘れられるものではない。

彼の論理に従っていたら、間違いなく私は自殺していたと思う。彼があのままなら、無知により何人かは部下を殺すだろう。自分を殺そうとする輩からは逃げることだ。回復してならともかく、弱っている時にそんな人間に耳を貸すべきでない。

うつ病は脳の一時的なケガ、機能障害である。だから、つらい時は逃げたら良い。程度に差はあるが時間薬にて楽になってくるものであるから、少し楽になってから考え直せばいい。

私は弟にもやはりそれに似たことを言われた。よかれと思ってのことだが、自分に厳しい人はそういうことを言う。自分が弱っている時には無視するしかない。(ちなみに、私自身も自分に厳しい人間であった。だからうつ病になるのだ。)

とにかく、死なないための行動を優先するのだ。生きていれば、なんとかなる。死んだらそこでおしまいである。

そのためには抗うつ剤の力を借りるのも必要である。抗うつ剤は原因を治すことはない、単なる対症療法でしかない。それでも助けにはなる。

②医師はまずは相性の合う人を選ぶ

長いことメンタルの問題を抱えるといろんな医師と会った。私のいうことを聞かず、型に当てはめて機械的に薬を出すだけの医師は一番役にたたない。日本の医療は保険点数で一人を扱う時間にも制限があるようで、十分に話を聞いてくれる医師は少ない。

せめて、自分の意思や意向が通じていると思える医師を選ぶこと。抗うつ剤一つ、自分に合うものを探し出すだけで数年かかることは珍しくはない。だから、自分が信頼できる医師ととともに治療に取り組んだ方がいい。

医師が精神疾患の経験者であればそれに当たらないが、医師はあくまで知識で知っていることで患者を理解しようとする。しかし、そんなものでは全く患者の状況は理解できてない。何にもわかってない専門家を相手にする精神疾患者が置かれている状況は過酷である。

最近は高度な医療機器を使えば画像診断で、うつ病と双極性障害や統合失調症の見分けがつくらしいが、ほとんどの医者にはそれが見分けられない。実は盲目状態で手探りで治療をしているようなものだ。

そのため、いろんな医師の意見を参考にすることも必要だ。

③カウンセリングや認知療法など

うつ病で完全に落ちている時には、とにかく休むことだ。人によって時間軸は違うが、休んでいると自己免疫力で脳みそのケガは治ってくる。しかし、それだけではうつヌケはできない。もしも、そこで治ったと思ってまたストレスにさらされると元の木阿弥になる。

うつ病で身動きできなくなるのは脳のケガであるが、その原因がさらにある。それは自分自身の物事の捉え方、心のクセである。自我そのものが原因と言っていい。

自分に向き合う方法はいろいろとある。私自身はUSTPによって救われたが、これは私のバックグラウンドとUSTPが合っていたからで、その他の方法でも良い。

心理療法にもいろいろとある。健康法やダイエットと同じで人によって、向き不向きがあるので、辛抱強くいろいろと試してみる事だ。

日本は西洋に比べて、カウンセリングの重要性の認知が低く、最終的にうつヌケに導ける専門家が少ないのは社会の問題だ。

④自分のバックグラウンドを知る

うつ病は単なる症状に過ぎず、その原因にはさまざまなケースがある。幼年期からの経験による記憶のトラウマ、解離だったり、発達障害があったりする。さらには実はうつ病ではなく双極性障害(躁鬱病)だったり、統合失調症だったりする。極端なケースでは脳脊髄液減少症のような身体疾患のケースもある。

その解明には時間もかかるが、最終的にはそういった問題にも向き合う必要がある。

自分自身のバックグラウンドと向き合い、それを受け入れていくことはうつヌケをするための鍵となる。

⑤同じ境遇の仲間がいることを知る

私がメンタル問題で悩み始めた頃には同じ境遇の人に会う場所も機会もなかった。うつ病が悪化して廃人同様になった頃は精神障害者手帳2級を受けて、市の精神障害者施設にいって作業をしたことがある。その時に会った人たちはうつ病ではなく統合失調症と双極性障害の人だけだった。それでも似たような境遇の人が実際に存在することを初めて実感した。

先日、池袋のイベントバーエデンの「HSP」のイベントに行ったが、そこにいたのはHSPであり、発達障害やメンタル問題経験者であった。彼らはSNSなどを使って、自分たちの状況を発信と情報共有をしていた。

自分だけがつらい状況に置かれていると思って過ごすのと、同じような境遇の人が実際にいることを体験するのでは雲泥の差だ。また、そこで交換した情報により自分の状態が激変することもある。

今は昔に比べると、そういう意味では同じ苦労をする仲間と出会うことには良い時代である。

私は20年ほどの暗いトンネルを抜けて、うつヌケをしたと自認している。私なりの病気への理解と治療の手法によりそれをなしとげたわけだが、それが万人に効くとは思っていない。

それでも周囲の苦しむ方々に手を差し伸べるための呼びかけはするのだが、それに耳を傾ける人にはなかなか会えず、助けとなれる機会は全くない。

人によって、ご縁とタイミングは違うのだと理解をしている。私とそういうご縁がなければ、いくら私に知識や経験があっても、どうやら手助けができない。うつヌケするタイミングで出会うとそのお手伝いができるだけなのだ。

だから、私の経験や知識を役に立てるにはもっと広く呼び掛ける必要があると思っている。たいした役に立てる訳ではないが、そんな思いもありメンタル問題の記事は書いていきたい。