陰陽師 安倍晴明

NHKのコズミックフロント☆NEXTで安倍晴明の特集を見た。映画でのヒーロー像とは違って、天文学者として優秀であったというお話。

ドラマ部分を稲垣吾郎が演じていたが、NHKドラマ版の陰陽師を演じてからもう20年も経過すると考えると自分も歳をとったものだと思う。

映画「陰陽師」は夢枕獏のファンタジー小説が原作なので、当然のことながら実像とは違う。魔法のような術を使って、式神を使い、鬼や妖怪と対峙するのが現代の安倍晴明のイメージである。

陰陽師というのは、古代における天文学と占星術の専門家であった。ただ、現代に比べると、占星術の影響力は膨大であった。

占いというのは、現実における現象と相似の形で、天体やカード、卦などにサインがでることを前提としている。私の理解では未来の予測というよりも、現在起きていることのサインを読み取ることだと思う。

私の理解では、写真や名前から、その本人の気をリーディングできてしまうことから、現象と占いの道具が紐づけ方によっては相似を描くことは不思議でもなんでもない。

現在起きている現象を予兆としてとらえて、未来を予想するが予知ではないので、当たることもあれば当たらないこともある。占いが統計学であると言われるのはあくまで確率による予測でしかないからだ。

卦が表れる対象の見方が明確であれば予兆として把握することは可能ではないかと思う。その意味する所の解釈はリーディングの力によって幅が変わってくる。

ただ、占いが現時点の予兆を見ているのであれば、未来予測として機能すると考えるのは間違いであろう。未来は予兆とは関わらず、何が起きても不思議ではない。

安倍晴明は40代になってもまだ見習の立場であり、52歳でやっと陰陽寮の天文博士となる。その後、藤原氏とつながり政治の中枢への影響力を持つようになる。だが、80代になっても、新しい術式を編み出すことなる彼は研究熱心でもあった。

彼は緻密な天文学者としての側面と、気を読みそれを扱う才能があったようだ。北斗七星の力を使って、地上の邪気を祓う作法を編み出し、今に伝わっているという。それは気の流れが読めたことに他ならない。

安倍晴明で思い出すのは、ドーマン・セーマンというものがある。ドーマンとは九字切りの九字、セーマンとは五芒星を表し、三重県に伝わる邪気払いの文様とされる。

セーマンの語源は安倍晴明、ドーマンは芦屋道満という陰陽師である。

私自身、これらの文様は邪気祓いに使用することがある。今でも役に立つものだと思うし、魔法を使うヒーローだとは思わないが、偉大な術師だと思う。

コズミックフロントでは安倍晴明が関わったかもしれない新しいクーデター説に言及をしていた。一介の学生であった安倍晴明が最高位の陰陽師になった陰では、魔術的な力よりも謀略の方が効いたということになるが、現実とはそんなものだと思う。