自粛する企業と自粛しない企業

私個人はテレワークで自宅勤務をしており、社会の要請に従って活動の自粛をしているが、それでもお仕事は継続させてもらっている。それは個人的にはありがたい。

とはいえ、自分がやっていることが何かがおかしいと感じざるをえないが、単なる雇われの身ではそれをおかしい言うことすらできない。仕事の内容自体は社会から見て”不急”だと思う。お客様の側は種別として事業継続が義務付けられている事業者だから発注先には思い切り業務継続を求めてくる。その企業の活動は確かに社会秩序維持に必要なのだが、その活動の中には当然に社会的に見て”不急”な部分も多々ある。仕事が先延ばしになれば損失が出ることにつながる。だから、業務の継続を要求されるので仕事は続けている。しかし、私の配下でも多くの人たちが実際に市中を移動して仕事をしている。現業の部分は継続するならば、実際に現地に行って作業をしなくてはならない。当然感染者の発生リスクはある。下請け業者の人間が何人感染しようが、そんなことは知ったことではないと言うのがお客様側の意向なのだろう。過去の歴史を見てもあの業種の人々にとって他人の命ほど軽くて安いものはない。少なくとも傍目にはそのようにしか見えない。多くの企業が社会のため、医療崩壊を防ぐために身を切っている中、超有名な巨大企業の本部機能はそんな判断をしている。

総理大臣が8割の人が移動しないように求めているのに、それと全く反したことをしている。しかし、契約をしたお客様の要求には当然逆らえない。監督官庁が、社会維持のための最低限の活動以外は自粛せよと細かいことまでクチを出すならば、監督官庁に逆らえない類の業種の人間はあっという間に人の移動は減らすだろう。

下請けの人間が何を言っても変わらない。トップにいる人間が損得勘定以外で判断するしかない。自社だけでなく、発注先でも感染者が出ないような配慮をする責任が大企業にはあるはずだ。もっとも、お金を扱う事が本業の人たちに、損得勘定を捨てろといっても意味を解さないだろう。存在意義自体を否定されたと考えるかもしれない。こんな状況になっては、損得しか考えない企業体質というものは社会悪と言っても過言ではないだろう。