名越康文医師のサイコパスの本を読んだ。漫画と解説で分かりやすい本である。この本を手にとったのは、自分に周りにまたサイコパス様の人物が現れて、私がターゲットにされている。離れるのが一番だが、すぐに距離を取れそうにない。研究と対策が必要だ。
サイコパスといえば反社会性パーソナリティー障害という名称からも、シリアルキラーのような凶悪犯罪者を想像しがちである。
しかし、この本では一般社会の中で犯罪にならない範囲で存在する向社会性サイコパスを中心に紹介をしている。日本を含むアジア人では100人に1人で、欧米の場合は25人に1人がサイコパスであるという。
塀の中にいく連中以外にも、社会には向社会性サイコパスが山ほどいる。この本ではサイコパスのわかりやすいパターンが紹介されているので、非常にわかりやすかった。
私は2年ほど前に、会社であきらかにおかしいと思われる人物がいることでサイコパスの勉強をした。サイコパスなどヤクザや犯罪者にしかいないと思っていたのが、それを機にまったく認識が間違っていることを知った。
当時、大変ブラックな現場にいたのだが、恐怖しか感じないその環境の中で飄々としている同僚がいた。すごく豪快な人物に見えた。ある日、彼に問題が持ち上がった。前日の飲み会の帰りにバッグを拾って、その中のポータブルゲーム機を抜いてその他は携帯電話を含めて川に沈めたと職場で武勇伝として語っていた。
そこが客先であったことから、リーダーは彼を即日更迭した。この時点では彼が何を考えているのかさっぱりわからなかった。
電話で彼と話をすると、「交番に届けようと思って拾ったのだけど、家までの道筋に交番がなかったので川に捨てた、でもゲーム機は交番にさっき届けた。」と意味不明なことを言っていた。その時に彼に以前に聞いたことを思い出した。
高校生の時に、彼の友人が自宅の車を持ち出して、その車で事故を起こしたという。友人からどうしようと泣きつかれた彼が取った行動は、その車を江戸川に沈めることだった。
親に隠れて持ち出した車が事故を起こしたからと言って、なぜ川に沈めるのか意味が分からなかった。単に事件がより大きくなっただけだ。彼の言葉には罪悪感はカケラもなかった。嘘をつくことにも、車を川に沈めることにも。たぶん、自分に不都合なら彼は人でも江戸川に沈めるのではないかと恐怖を感じた。
普通の人間では考えないことを考え、普通の人ではできないことをいとも簡単にやってのける。良心も罪悪感もない。恐怖心もなければ、感情も薄い。都市伝説に爬虫類人というのがいるというが、まるでサイコパスは爬虫類人のようなのだ。
そんな人を一人見つけ出すと、ゴキブリのように同様な人が他にも見つかるようになる。取引先の部長、人材紹介会社の社長など当時の知人の範囲で数人がサイコパスではないかと思った。
私の判別方法は、基本的にその人に恐怖心があるかどうかである。良心や罪悪感がないように見える人は他にもいる。不足感や恐怖心が元になって、劣等感の塊になっている人もモラルのない行動をすることがある。サイコパスには不快感はあっても、恐れはない。
行動原理に恐れが存在せず、良心や罪悪感が存在しない人はサイコパスであろうと私は考えている。
この本に「サイコパスは神に近い？」というコラムがある。人との共感性と持たないのに、人の感情や思考を読んで操ることができるところを上げている。
人が悟って、良いも悪いもない、好きも嫌いもないという境地になるとサイコパスのようになるのではないかと私も考えたこともある。
もし、神が慈愛に満ちた存在であるならば、自分のことのみを考えて行動するサイコパスは神ではない。むしろ、近い存在があるとしたら悪魔である。どちらにしても、人間離れした存在である。
普通の人間はサイコパスと勝負をしても、かなわない。恐れも、感情も、善悪による葛藤もない人間は失うものがない。さまざまなものを守りたい普通の人が、やりあって勝てる相手ではない。まさに悪魔そのものである。
そんなサイコパスにも利点はある。戦場に死ぬとわかって兵を送れるのは、サイコパスは向いている。普通の人であれば、苦悩して自殺ものだ。政治家で多数を助けるために一部の人を生贄にしなければならない場合、サイコパスなら平気でそれができる。リストラ担当者でもサイコパスは嬉々として活躍するだろう。
この世界は綺麗ごとだけではやっていけないのは、事実としてある。そんな場合、汚れ仕事にサイコパスは向いている。そんな所で暗躍をしていつの時代にも活躍をしてきたのだろう。
サイコパスは考えようによっては、ホモサピエンスが生み出した最大の敵かもしれないし、次の人類かもしれない。
アメリカ合衆国は今まさに２つの人類に分断している。サイコパスとその一派 vs 良心と罪悪感を持つ人々だ。アメリカ大統領選挙の結果は投票日を3日過ぎても結果はでない。
爬虫類人とホモサピエンスの力比べかもしれない。結果はどうなることやら。