おはよう日本 川村元気

映画プロデューサーにして小説家の川村元気が新作「神曲」を出版すると言う。

テーマは宗教で、「信じる」と言うことについて扱った作品である。

川村元気は社会現象となったアニメ「君の名は」のプロデュースは記憶に新しい。最近は小説をほとんど読まない私も「億男」は読んだし、彼の小説が映画化されたものはほぼ見ている。

彼はコロナ禍はより不信を生み出して、社会はより分断と孤独を増やしていると感じてる。その中で自分も自分自身すら信じてないことに気づいたと言う。

そのように投げかけられると、私自身もそうだと思う。私は元々の常識的な見えるものだけを信じて、見えないものは信じなかった。その後、見えないものを感じるようになったことで、見えないものを信じるようにはなった。

しかし、スピリチュアルの世界は玉石混交であり、与太話から巧妙な詐欺、大掛かりな洗脳など何でもある。そのため、自分の力で感じるものもしか信じないようにしている。

人に対しても「人の言うことを鵜呑みにせずに、自分で感じ自分の中の大いなる自分に照らし合わせて、良いものを信じましょう」などと言っている。

考えてみれば、それも不信であり、分断である。

さらに私の感覚で感じることと多くの人たちが言うことが違っていて、自分が間違っているのではないかと、自分自身への不信すら持つことがある。

信じるものは救われるという催眠術やヒーリングみたいなものを経験する一方で、「信じない力」を感じる事もある。特に防御や関わりを持たないことで助かることもある。

川村元気は「信じられるものが欲しい」と思って本作を書いたと言うが「書いた後も結局変わらなかった」と言う。

それもまた本質をついているような気はする。

人は自我の在り様によって認知が変わる。自我は記憶の集合体のようなものだ。より集合意識に繋がれば、「自分」の外を信じられるのだろうが、肉体という個の枠に囚われている制限の中で凡人たる私がどこまで行けるのかはわからない。

さらに同じ人でも常に意識はいったり来たりを繰り返す。悟ったと思ったら、悟れてはおらず、あかんと思ったら、気づきを得る。そんな事を思った。

「神曲」は機会があったら読んでみたいと思った。